■苦戦の錦織、焦りが募る
全豪オープン、男子シングルス2回戦で2セットビハインドから逆転勝ちした錦織【Getty Images】
テニスの全豪オープン第4日は19日、メルボルンで行われ、男子シングルス2回戦で第24シードの錦織圭(フリー)はマシュー・エブデン(オーストラリア)に3-6、1-6、6-4、6-1、6-1で逆転勝ち。2年連続で3回戦に進んだ。また主催者推薦で初出場した23歳の伊藤竜馬(北日本物産)は世界ランキング81位のニコラ・マユ(フランス)に6-1、6-7、2-6、2-6で敗れた。
強い風にさらされたマーガレット・コートアリーナ、錦織が自滅寸前からよみがえった。相手のエブデンは世界ランキング94位で、グランドスラム出場はおととし、昨年のこの大会に次いで3度目という格下だが、意外な展開になった。風を気にして安全につないでくるエブデンに対し、立ち上がりに錦織はやや強引なプレーに終始。アンフォーストエラーを重ね、第1セットの第4ゲームを先にブレークされたことで悪い流れになる。
日本に「錦織旋風」が巻き起こっているのなら、オーストラリアは地元のバーナード・トミッチの活躍で「トミッチ旋風」が吹き荒れている。国旗をまとった若者たちの大声援を背に、トミッチと同じく地元のエブデンが勢いづき、ウイナーを続けた。日差しは強いが暑くはない。それでも「攻めてもダメ、守ってもダメ」という状況に、錦織は汗をびっしょりかき、リズムをつかめず苦しげな表情。第2セットも6-1で落とすという予想もしない展開にスタンドの日本人応援団も沈黙した。
■劣勢の展開で真価を発揮した錦織
トレーナーを呼んで左太もものマッサージを受けるなど、あの手この手で臨んだ第3セット。第1ゲームは相手のサービスゲームを先にブレークして反撃に出たものの、第4ゲームでブレークバックされる。あとがない展開で、錦織が真価を発揮したのは4-4で迎えた第9ゲームだった。15-0からのリターンの判定をチャレンジで取り戻すと、打ち合いからのバックハンドクロスを決めて再びブレークに成功。第10ゲームを慎重にキープして1セットを挽回したことで、ようやく気持ちが落ち着いた。
「焦りはありましたが、ある意味、開き直った。1セットずつ取り戻そうと前に出ることを心がけた」
2セットダウンからの逆転は、おととしの全仏1回戦で経験している。その自信に加え、体力面の安定が我慢の支えだった。第4セットからは本来の自分を取り戻し、6-1、6-1と2セットを連取して、昨年に続いての3回戦進出を決めた。アンフォーストエラーを振り返ると、第1セットは錦織の12に対しエブデンが8、第2セットは15と1で、第3セットはともに16。そこから立場は逆転し、第4セットは錦織の9に対しエブデンは16、ファイナルセットは5対13。竹内映二・デビス杯監督のいう「我慢の勝利」で得た自信は、今後の戦いぶりにもいきてくるだろう。
■伊藤は奮闘むなしく2回戦敗退
錦織の試合に先立ってコートに立った伊藤は惜しい試合を落とした。立ち上がり、熟練者・マユの動きはおかしかった。左ひざのテーピングを気にしながらプレーし、アンフォーストエラーが伊藤の3に対し12。第1セットを伊藤が6-1で奪う絶好のスタートで、第2セットもいい流れが続いた。2ブレークずつでもつれ込んだタイブレークで、伊藤が果敢に攻めた。3本のミニブレークを奪って6-2と4本のセットポイントを握った。しかし、そこから6ポイント連取されて逆転負け。悔やまれる敗戦となった。マウといえばジョン・イスナー(米国)と11時間5分を戦った勲章の持ち主だけに、一気に戦意を喪失させたかった。
男子では、第15シードのアンディ・ロディック(米国)がレイトン・ヒューイット(オーストラリア)との試合の第3セットを終わったところで右足故障のため途中棄権。それ以外では、ノバック・ジョコビッチ(セルビア)、アンディ・マレー(英国)、ジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)ら上位シードが順当勝ち。女子では第2シードのペトラ・クビドバ(チェコ)がバックハンド片手打ちのカルラ・スアレスナバロ(スペイン)に第2セットを落としたがどうにか挽回、マリア・シャラポワ(ロシア)、セリーナ・ウィリアムズ(米国)、ベラ・ズボナレワ(ロシア)らとともに勝ち進んだ。なお、女子ダブルスのクルム伊達公子(エステティックTBC)とジャン・シューアイ(中国)のペアは初戦で敗退した。
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